Postlude

 ヴィンスが天測庁から受け取っていた手紙には、星天の声を聞くことができる子供は少ないため、今度学園の寺院でシャルルたちに会えないかと言うことだった。休日に二人が学園寺院を訪れた時、何度か見た少女が寺院の中で座って分厚い本を読んでいた。
 二人が声をかけるとにっこりと笑って本を閉じ、少女はシャルルたちに伝えたいことがあって待っていたと言った。
「君たちはとても勇敢だったな」
 少女は立ち上がって、人のいない教会の部屋へと向かって我が物顔で歩く。その様子を見たカルマン主卿が苦笑を浮かべて少女に声をかける。
「フローラ、ものを壊すなよ」
 わかってると言うように片手を上げた少女が、紫色の髪をふわりと靡かせて振り向くと、シャルルたちに「これはとっても秘密の話なんだけれど」と前置きをして、扉を閉めた。
「教会はね、実は神様との交流を記録して、その記録をぜーんぶ残してるんだよ」
 少女が重大事項を言うようにそう告げる。シャルルたちは顔を見合わせて思わず吹き出してしまった。なにせ、自分たちがあれこれ調べたことの一番簡単な事柄だったからだ。
「……それより、君たちが悪いことしてた奴らを捕まえたって聞いたよ」
「捕まえたというか……」
 戸惑いながら言葉を濁すヴィンス。頷きながら少女はシャルルたちが持っているペンデュラムを交互に指さす。
「それが君たちを導いて来ただろう?」
 シャルルは思わず首にかけた緑色の石に手を添えた。
「……僕は正しいことをしたのかな?」
「それが知りたいなら、教会の道へ進むといい。本当に正しいことは何か、そこで深く探究することができるだろう」
 少女はそれだけを告げると、小さな星屑を残して消え去った。
「まただな」
 ヴィンスが苦笑いしてそういうと、丁度カルマン主卿が二人を呼びに来た。どうやら天測庁の人たちが到着したらしい。二人は元気よく返事をして、小さな部屋から出ていった。
 魔法が満ちる大陸の、白き森が守る賑やかな学園。子供達の学びを見つめて、星天は静かに巡り続けるのであった。

End.

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